医療・介護・障害福祉事業専門の社労士が解説します
長時間労働 監督指導の概要
◆令和5年度の長時間労働監督指導した事業場数・・584
そのうち、違法な時間外労働があった事業場数・・308(52.7%)
◆業種別では保健衛生業 監督指導実施事業場数・・52
そのうち、労働基準関係法令違反があった事業場数・・47(90.4%)
・・監督指導した事業場の『90%』で違反あり・・
◆事業場規模別では
1から9人の事業場・・70(2%)
10~29人の事業場・・107(8.3%)
・・小規模事業所にも監督指導が行われています・・
法違反の内容
◆違反の内容は『違法な時間外労働』による是正勧告が最多です。
具体的には、時間外労働と休日労働との合計時間が
1. 月80時間を超えた・・161事業場(52.3%)
2. 月100時間を超えた・・110事業場(35.7%)
3. 月150時間を超えた・・32事業場(10.4%) となっていますが
上記 1~3 の何が違法なのでしょうか。
36協定

法定労働時間は、1日の労働時間は8時間、週労働時間は40時間と定められています。
法定労働時間を超える労働が必要な場合は、
1. 労働者代表と『36協定』を締結します。
36協定には①一般条項と②特別条項があり、
①一般条項の締結によって
労働者に週40時間を超えて、月に45時間、年360時間までの時間外労働(いわゆる残業)が
可能となります。
②特別条項の締結により 月に45時間を超えて
・休日労働+時間外労働の合計は、月100時間未満で2か月平均から6か月平均のいずれも
一月あたり80時間以内
・且つ 時間外労働が月45時間を超えてよいのは年間6ヶ月まで。
・且つ 時間外労働は年間720時間以内。
の労働が可能となります。
2. スタッフ10人以上の事業場は締結した協定を労働基準監督署に届け出る。
この2つをクリアし、はじめて法定時間を超えて労働させることができます。
前述の『違法な時間外労働』の何が違法なのか とうい点については、
・36協定の締結をせず、法定時間外労働(いわゆる残業)をさせている。
・36協定の一般条項だけでは月に45時間を超える残業をさせることはできない。
・特別条項を締結しても月100時間以上の残業をさせることはできない。
という労働基準法違反となっています。
お役立ち情報 確認しておきたい法令

◆医療機関・介護事業所・障害福祉事業所の経営者様向け 労働時間に関する情報提供◆
【36協定の締結はどのようにするか』
下記『厚労省』のリンク先から、R6年4月以降 36協定書式のダウンロードが可能です。
一般条項は『様式9号の4』、特別条項は『様式9号の5』です。ご利用ください。
記入要項は、スタッフの種別ごと、理由、1日、1ヶ月ごとに詳細を記入してゆきます。
【法定労働時間、所定労働時間、時間外労働の上限とは】
時間外労働の上限規制について 『厚労省 時間外労働リーフレット』もご活用ください。
【医師による面接指導が必要となるのは】
1ヶ月の時間外・休日労働時間が80時間を超えたスタッフから申し出があった場合には医師による
面接指導が義務です。下記『厚労省 医師による面接指導リーフレット』をご利用ください。
申し出を待つまでもなく、月に80時間から100時間が続けば過労死の可能性が高まります。
労働時間の見直し、働き方改革が必要です。
【スタッフの労働時間を把握する義務】
労働時間の管理方法は、客観的にタイムカードやICカードで把握する必要があります。
使用者による現認や自己申告制はやめましょう。
Saasソフト(オフィスステーション、ジョブカン、マネーフォワード等)の導入による
DXをお勧めします。
事業主の労働時間管理義務については、下記 厚労省ガイドラインを参照ください。
【月60時間を超える時間外労働の割り増し賃金率】
月60時間を超えた場合の割り増し賃金率は、25%ではありません。
『厚労省リーフレット』 をご利用ください
まとめ
最後までご覧頂き、ありがとうございます。
一口に労働時間と言っても、ご覧頂いたようにその中身は協定、時間管理、面接義務、割増賃金
など取り巻くルールは様々です。
こんなにいろいろな落とし穴があるのかあ・・という感じですよね。
是正勧告や賃金支払命令を受けずに済むためのリスクマネジメント、さらに進めて
労務コンプライアンスを高め、
スタッフエンゲージメントを向上させ、
経営理念実現のために
是非 社会保険労務士をご利用ください。
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社会保険労務士・社会福祉士事務所
西澤 俊彦
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